セルフネイルが大好きで、好きが高じてネイリストを目指したという人は、意外にも多いようです。もちろん私もその一人です。
私のように、全く別のお仕事をしていたにも関わらず、ネイルスクールに通い技術を身に着けてネイリストになったという人に、私もたくさん出会っています。
私は東京在住で、ネイルスクールが乱立している地域ですので、周囲のネイリストさんも通学スクールに通っていた人がほとんどです。ただ、ひとくちに通学スクールと言っても、大手のマンモス校に通っている人もいれば、個人の少人数制を導入しているスクールに通っている人もいて、その特性は異なっています。
私自身も、1校目は大手マンモス校、2校目はマンツーマンの小規模校に通いましたので、それぞれの違いがあるのは感覚的にわかります。これは別途記事でも紹介しています。
→記事【セルフネイラーさんがプロを目指したい!~大手スクールか?小規模スクールか?それぞれの良いところを主観的に解説します】(執筆中)
また、私の知り合いで、1人だけ通信で勉強中の人もいます。その方には、スクールを決めるときに、通学がいいか通信がいいか相談されましたが、これから述べるようなことを正直にお伝えした結果、通信に決定したようでした。(あくまでも、その方にとっては、通信の方が合っていたということなので、あくまでも本ブログは通信をごり押しするような内容ではありません。)
この時に、ネイルの技術を学ぼうと思った時に、通学か、通信か、という二択で迷われる方がいるんだなと気づきました。
前置きが長くなりましたが、今回の記事は他の記事とはちょっと雰囲気を変えて、セルフネイラーさんがプロを目指すときに、まずはぶつかるであろう「スクールを選ぶ基準」について、私なりの考えを「ぶっちゃけ」で正直にお話ししたいと思います。
これをどう受け取るかは読まれたみなさん次第ですが、固定観念にしばられているとスクール選びを間違う危険もありますよ、という注意の意味も込めて、つづっていきたいと思います。
まず、一般的に言われている、通学および通信のメリット・デメリットは以下のようなものですね。
<通信講座>
○メリット
・時間の都合がつけやすい
・自分のペースで学べる
×デメリット
・個別の指導が受けられない
・自己管理能力が必要
<通学スクール>
○メリット
上記のデメリットの逆
×デメリット
上記のメリットの逆
こんなことは今や、検索エンジンで調べれば、多くのサイトに書かれていますので、
「ネイルスクール 通信 通学 比較」
なんていうキーワードで調べてもらえば、おおよそいろいろなサイトが解説してくれているでしょう。
ただ、これって真理なのか?と私は思っています。もちろん、事実であり、そういった側面が強いことは確かですが、本当に、これはメリットなの?デメリットなの?と問い直せば、実際に通学スクールに通ってみた今、真理はもっと別のところにあるのではないかと、考えているのです。
さて、ここからは、本当にメリットなのか?本当にデメリットなのか?という観点から、とても主観的に「ぶっちゃけ」を語りたいと思います。ちょっと途中辛口ですが、素直な思いを語っていると思って、お読みいただけると幸いです。
ネイル技術の上達は「練習量」にあり
まず、私の考えを述べておきます。
ネイル技術を上達させたかったら、何をすればよいのか。
”とにかくひたすら練習すること”
これが真理だと私は思っています。
先生の教え方がうまいとか、スクールの設備が整っているとか、そういうのは、二の次の要素で、まずは、たくさん練習したかどうか、これが上達のコツであり、真理だと思っています。
だって、スクールの先生に「どうやったら先生みたいにできるようになりますか?」と聞いてみると、皆さん口をそろえてこう言います。
「いっぱい練習することだね。」
ほら。誰も、
「こうすれば魔法のようにうまくなるのよ。」
とか
「最新技術を用いればものの10分で見違えるように上達するわよ。」
とか、言いません。
ネイリストの仕事は、「職人技」です。私の父は大工職人ですが、ネイリストさんを見ていると、父と近いものを感じます。
”いかにたくさん練習して、いかに体で覚えていくか”
これが、ネイル技術上達への、遠いようで近いやり方なのです。
まず、たくさん練習すると、たくさん失敗します。失敗は上達への財産です。失敗した分だけ「失敗しない方法」があって、それを習得すればするほどうまくなります。だから、たくさん失敗するには、たくさん練習しなければなりません。
また、爪というのはひとそれぞれ異なります。よって、たくさんの人の爪を使って練習させてもらうと、一様でない「対応力」が身につきます。いつも同じ人に月1回練習させてもらうのと、毎日違う人に30日練習させてもらうのとでは、触れている爪の数が違ってきます。いろいろな爪に触れていると、「こういう爪にはこう対処しよう」という、それぞれの爪に合わせた施術ができるようになってきます。これはサロンワークで必要となる技術です。
上記の理由で、ネイル技術上達のコツは練習量にあると、私は信じています。
よって、その練習量を自主的に確保する覚悟を持ち、その上で、通学にするのか、通信にするのか、というのを考えてみていただきたいと思うのです。
通学スクールは本当に時間の都合がつけにくいのか?
私は2つとも通学のスクールに通いましたが、いずれも、「フリータイム制」でしたので、さして、時間の都合がつけられなかったなあという印象はありません。フリータイム制というのは簡単に言うと「行けるときに行く」システムで、行けそうな日時をあらかじめネットや電話で予約して行くものです。
特に1校目に入学した時は会社員をしながらでしたが、夜の時間帯は当日の16:00までに予約をすればよかったので、平日でも会社終わりの時間を使って行けましたし、土日は時間があればどちらか1日まるごと予約したり、半日ずつ2日間予約をしたりして、自分のスケジュールに合わせてそれほど無理することなく通えていました。もちろん、行かない週もありましたよ。
調べてみると、美容専門学校などでない限り、ほとんどのネイルスクールでフリータイム制が導入されているようですので、通学だから時間の都合がつけにくい、というのはいささか言い過ぎではないのかなと思っています。
ただ、これは、私が当時独身で、かつ、仕事は個人にスケジューリングの裁量があったからだったかなと思っています。子供を育てながらとか、職場的に「これ明日までにやっておいて。」「今週土日、出勤してね。」という急な業務が発生する場合は、正直難しいですね。
ちなみに、予約をしておきながら当日急に行けなくなった場合、私が通っていたスクールはその分は受講したものとしてカウントされてしまい、それが5回以上あると退学処分でした。子供が急に熱を出したとか、仕事上の急なトラブルで行けなくなったということが、通学期間中にけっこうあるなと思われる人には、通学形態の(特に大手)スクールは向いていないかもしれません。
私なりに通信の方が向いているなと思う具体的な人物像をあげてみました。
○通信にした方が良い人
・通学スクールがあいていない時間(18:00~翌10:00までの時間)しか勉強の時間が取れない人
・1時間ずつなど細切れの勉強時間しか取れない人(だいたい1回の授業は2時間~4時間で、それに移動時間がプラスされます)
・仕事のスケジュールを自分でコントロールできない人(急な残業、休日出勤が頻繁に発生する人)
・通学するのに多くの時間と交通費がかかる人
最後の項目はちょっと特性が違っていて、特に地方に住んでいる方という意味で書きました。この場合は、時間もそうですが、物理的に交通手段がないとか、あっても毎回通学で往復2時間かかるとか、そういった場合です。(私も今は東京在住ですが、地元は宮城県ですので、田舎がどういうところか分かっていると自負しております。)とにかく不便なところはそれなりの街に出るまで車で30分・1時間というところが多く、ましてやその街にネイルスクールはなく、さらに30分いったところまで通うなんてことも。こんな状況の時は、通信で時間を効率的に使って学ぶことをおススメします。
私が通っていた大手スクールは有名校ということもあり、東京に隣接する県からも片道2時間以上かけて通学している驚きの根性をお持ちの方もいましたが、正直今となっては、その通学時間を使って少しでも練習した方がいいよね、と思っています。
通学スクールは自分のペースで学べないのか?
以下の図は、ネイル技術を習得するときのサイクルです。ネイルの技術ごとに、この①~③を繰り返します
①学ぶ時間
②練習する時間
③振り返る時間
そもそも、通信だろうが通学だろうが、「受講期間」というものが決まっています。一般的に学ぶ内容が多ければ2年、少ないものだと半年などです。なので、いくらマイペースで進めても、その期間内にはすべての単位を修得しないといけません。
よって、単位の取得ペースという意味では、通学でも通信でも同じ条件にあります。
つまり、「通学は自分のペースで学べない」と言われるゆえんは、おそらく①の学ぶ時間の中におけるペースのことを言っているのだと思います。
たしかに、通学ですと、先生が説明して、そのメモをとり、自分でやってみる、という流れで授業が進みますが、グループ形式で行うと、メモを取るのが遅い人、作業が遅い人というのがいて、それらの人を待たなければならない状況になることがあります。また、1回の説明では理解できずに、何度も先生に質問することで授業を止めてしまう人もいます。
そういった意味では、通信ですと、主に動画で授業を受けることになるので、早く進みたい人はぱっと動画を見て早く進められますし、じっくり進めたい人は動画を止めながらゆっくり見ることも可能です。説明を聞き逃したのならば、再度その部分だけ再生すればいいですし、周囲に気を遣うことなく進められるメリットもありますね。
ただ、それって技術の上達にそんなに影響ありますか?と言ったら、正直影響ないんじゃない?というのが、私の考えです。
だって、上達の最大のコツは練習をすること。よって、上記の図でいうと、②と③に時間をかけるべきであり、その時間をどれだけ多くとるかが重要なんです。①のたかだか数時間、先生の進みが早いからといっても、その数時間は集中力を高めて必死でついていけばいいですし、30秒や1分、誰かのせいで待たされたからといって、みなさんの上達具合にそんなに差が出るとは思いません。
また、通信の学習時間の自由さには、①に時間をかけ過ぎてしまって②と③の時間が少なくなるという、紙一重のデメリットもあるわけですね。学べる時間が自由にコントロールできるというのは、裏を返せばいくらでもその学習項目を学んでいられるということです。
もちろん、
その授業のペースが合わなくてストレスで集中できないんです!モチベーションも保たれません!
という繊細な方もいらっしゃると思うので、一概に、関係ないですとは言えませんが、通学だから自分のペースで学べない、通信だから自分のペースで学べる、というのは、あくまでも学習のほんの一部(授業を受ける数時間の間)を指して言っていることなんだという認識を持つべきではないでしょうか。
授業についていけなくたって、そのあとの練習をしっかりすれば確実に上達しますし、授業に軽々ついていけたって、そのあとの練習を怠れば技術力は向上しません。
自分が気楽に授業を受けることを目的とするのか、技術の向上を目的とするのか、よく考えて選びましょう。
通信で個人の指導が受けられない、というのは嘘!?
まず、通学のメリットとして、いつでも先生に疑問点を聞ける、というのがありますが、これはあくまでも「聞ける」のであって、その結果皆さんがどうなるか、というのはまた別の話です。メリットになるかどうかはみなさん次第だということを知っておきましょう。
というのも、実は技術を習いたての時というのは、疑問も何もわいてこないというのがほとんどです。授業では先生のお手本を見て、さあやってみましょう、となるわけですが、その授業の間に出てくる疑問と言えば、「あーあ、先生と全然違う。なんでだろう。」ぐらいのものです。
では、それをそのまま先生にぶつけてみましょう。なんて返ってくると思いますか?
「何回も練習して。」「もう一回やってみて。」
としか言われないでしょう。これは先生が悪いのではありません。質問の内容があまりにもアバウトすぎて、先生も答えようがないのです。
多くの新しい知識・技術を習い覚えると、習った直後より、往々にして、復習時、つまり練習中に疑問がわいてきます。人間の脳は反復学習によって記憶を定着させます。また、具体的な失敗をすることで、具体的な対応策が見いだせます。
ですので、習ったことを何度も「やってみる」ことが重要であり、その中で「あれ?これってどうやるんだっけ?」とか「ここがうまくいかないからコツを教えてほしい。」という新たな学習欲がわいてくるわけです。
練習中にやっと、
「私は何度やっても、ファイリングが左側にかたよる。なぜだろう。」
とか
「甘皮処理の時に、ニッパーが皮膚にあたってバサバサしてしまう。なぜだろう。」
という「具体的な」疑問がわいてくるのです。
そして、先生というのは、その具体的な疑問に答えてくれる存在として、使うべき(言葉は悪いですが)なのです。
よって私は、新しい技術を教えてくれる先生は実世界の先生でもDVDの中の先生でも一緒、具体的な疑問に答えてくれる先生は実世界の先生が良い、と考えています。具体的な疑問は本当に細かなことだったりするので、まずはそのプロセスを見せて、3次元の世界でアドバイスをもらうのが一番近道だと考えています。通信で文字だけで疑問点を伝え、文字だけでアドバイスを受けるのは、なかなか本質的な課題の解決になりませんよね。
多くの通信制のネイル講座には「スクーリング」と言って、実際に先生にみてもらえる授業が組み込まれているのが一般的です。すべてを通信で、というのは趣味系のネイル講座には存在しても、プロを目指す講座だと、あまり見かけません。
そして、通信でもこのスクーリングが全くない講座は、正直おススメできません。もしないのであれば、別途、JNAや他のネイルスクールの単発講座に参加してください。
なぜならば、やはり「直接先生に質問する」機会は必要だからです。いくら練習量が重要と言っても、この新たな疑問がわいてきたときに、適切な指導を受けられなければ、学習効率が下がってしまいます。
このスクーリングさえあれば、通信でも通学と同じ効果を得られると私は考えています。なので、通信だと個別指導が受けられないというのは嘘で、多くの場合、スクーリングによってそれが解決されると思っています。
では最後におまけの小話を一つ。通学でもスクーリングでも、先生に対して「過度の期待」は禁物です。
まず、目の前に先生がいても、グループ制(先生一人につき複数人の生徒)をとっているところだと人数が多すぎて疑問点が聞けないことがあります。5人以上になると、聞く順番が回ってくるまでに何分もかかりますので、周りに気を遣って詳しいところまで聞けずに終わることも。そうならないためには、とにかく事前に質問を具体化すること。そうすることで疑問点が局所化し、先生も短い時間で答えてくれやすくなります。
また、ネイルの先生は上述の通り、「職人さん」です。体で技術を覚えている先生が多いので、解決法は「見せて」くれるのみ、言葉では答えてもらえないことも。「こうするの、こう!」という見本は何回も見せてくれますが、それを言葉には変換してくれないので、とにかく「見て覚える!」というこちら側の心構えが必要です。場合によっては、先生と違うのはわかったけど、どこが違うのかわからない、ということも結構あります(笑)こうなってくると、通信で使用されている動画が使えますね。これを何度も見て、自分のプロセスと先生のプロセスの何が違うか、とことん追求した方が、いちいち先生にやってもらうよりもいいということがあるかもしれません。(ちなみに、ほとんどの通学スクールでは動画の撮影は禁止です。)
こんなことも頭の片隅に入れておくと、いかに、自主的に学ぶ必要があるのかというのが見えてくると思います。
自己管理能力は通学だろうが、通信だろうが必要!
上述の通り、通信だろうが通学だろうが、既定の期間内ですべてのカリキュラムを終わらせなければならないというのは変わりません。通学だといやがおうにも勉強しなきゃいけないでしょ?と言われますが、フリータイム制だと、3ヵ月以上さぼるなんてことも実質可能なので、自己管理能力は通学だって必要なんです。
また、通信だと、勉強の最中に誘惑に負けてしまうとか、よく言いますよね。
しかし、数学などの受験勉強を無理やりさせられているならまだしも、自分が好きで選んだネイルという「科目」です。誘惑に負けてしまうくらいなら、そもそもネイリストを目指さない方が良いのではないかと思ってしまいます。
好きなことというのはイコール、何時間やっても没頭できるようなものではないでしょうか?
たとえば、ご飯をつくる、子供を寝かしつける、明日の仕事のために早く寝る、といった「すべきこと」で横入りが入るのは仕方ありませんが、練習よりも、ついテレビを見続けてしまう、とか、漫画を読んでしまうということなら、そもそもネイリストには向いていないかもしれません。
最初に申し上げた通り、ネイル上達のカギは「練習量」なのです。スクールの単位を取り終わったら終わり、検定級を取ったら終わり、ではなく、この後もずっと練習し続けなければならないのがネイリストという職業です。(ちょっと2日休んだだけでも手が鈍ったなと感じるほどなので。)テレビよりも、漫画よりも、ネイルが好き!というオタク精神がないと、やっていけないと私は考えています。
「しかたなしにネイリストになった。」「お金を稼ぐためにネイリストになった。」というネイリストさんを私は見たことがありません。正直、雇われネイリストの時給は安いですし、ただお金が欲しいだけだったら、派遣で事務職をやっていた方が断然稼げます。
お金儲けではない何かを求めてネイリストさんになる人が多い中、自己管理能力が必要なレベルで学んでいるのであれば(無理やり自分を鼓舞しないと学べないようであれば)、もしかしたらあなたの能力は別な分野のほうが活かせるかもしれません。
まとめ
たくさん練習することを心に決めたら、まずは、通学・通信関係なく、資料請求・体験入学をしてみましょう。世の中には通学・通信が半分ずつの講座や、個人スクールだとみなさんの都合に合わせて最適なプランにカスタマイズしてくれるようなスクールもあったりします。
それぞれ、自分が置かれている状況、性格、予算、住んでいる場所が違いますから、一般的にどこがいいという口コミは参考程度に、「自分には」どこが合うのかという視点で、選び、納得して学習を進めることが必要です。
ネイル市場は成熟してきています。それぞれ通学・通信どちらを選んでも、技術を上達させたいんだという気持ちがあれば、いくらでもその手段は見つかる時代ですから、選んだ道を迷わず突き進めば、たどり着くところは皆同じになると思っています。
↓こちらのサイトは、美容系の通信&通学の一括資料請求ができるサイトです。ネイル系は通信の資料請求が充実していますので、参考にされてください。今後通学系も充実するといいなと思うのですが・・・。受講料も一覧で比較できるので、予算と照らし合わせながら資料請求できるのがいいですよ。
この記事が、これからネイリストさんになろうと思っている方の背中をちょっとでも押せたらいいなと思っています。おこがましいようですが、私の考えを述べさせていただきました。ここまで読んでくださってありがとうございました。
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